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平成28年度研究テーマ

平成28年度の主な研究テーマです。   

  1.LCCを考慮した鋼橋桁端部の維持管理方法について

  2.橋梁の付属構造物の損傷と振動特性に関する研究

  3.高力ボルト引張継手およびそれを有する部材の力学的挙動の解明とそれらの合理的活用法に関する研究

  4.ハイブリッド実験システムを利用した橋梁部材の強地震動時挙動の解明手法に関する基礎的研究

  5.2方向面内荷重と輪荷重とを受ける鋼床版要素の耐荷力照査法

  6.高変形能高力ボルトを用いる免震構造の開発に関する研究

  7.鋼・コンクリートの複合橋梁の弾塑性有限変位解析プログラムの開発

  8.エネルギー吸収型連結装置の開発とその高架橋への適用

  9.高架橋上の照明柱の振動制御に関する研究

10.エポキシで炭素繊維を硬化させ貼付・補強された鋼桁の弾塑性有限変位解析法の開発

11.高力ボルト引張接合を用いた複合構造ガセットレストラス格点部の開発

12.曲線桁の横ねじれ耐荷力

13.複合橋梁の各種限界状態の合理的な照査方法の開発

14.プレートガーダーの座屈耐荷力特性と低コスト化

15.細径ケーブルを活用した新形式橋梁の試設計

16.腐食した鋼橋桁端部の耐荷力評価に関する研究

17.ハイブリッド実験システムを利用した橋梁部材の強地震動時挙動の解明手法に関する基礎的研究

18.強地震下における長大鋼橋の動的弾塑性有限変位挙動の解析とその簡易照査法の開発

19.RC部材および鋼製部材の補強も兼ねた炭素繊維による鉄筋や鋼板の電気防食技術の開発

20.薄肉鋼製部材の連成座屈挙動の解析と現象の明確化

21.道路橋付属構造物の損傷発生に関する実験的研究

22.高架橋上の照明柱の振動制御に関する研究

23.安全と環境と経済性との調和を考慮した都市内鋼・複合橋梁の再生と創造

24.橋梁の振動制御に関する研究

25.複合橋梁の各種限界状態の合理的な照査方法の開発

1.LCCを考慮した鋼橋桁端部の維持管理方法について

  平成14年3月に道路橋示方書が改訂され,橋梁の寿命について,100年を目標に設計するように規定された.しかしながら,橋梁の付属物である伸縮装置等の寿命は短く,常に点検を行ってメンテナンスをしていく必要がある.そこで,100年よりも短い寿命を持つ伸縮装置を例にとり,この寿命を阪神公団の損傷データから明らかにしていくとともに,これを使用したライフサイクルコスト(LCC)の算出方法も提案していく.また,損傷した伸縮装置の直近の点検データを使用し,これを重回帰分析することによって伸縮装置の余寿命を計算する簡易式を提案していこうと考えている.余寿命の簡易式が提案されれば,これを並び替えることによりメンテナンスのプライオリティも決定するものと考えられる.したがって,メンテナンス戦略を考える上で非常に便利になるものと考えられる.

2.橋梁の付属構造物の損傷と振動特性に関する研究

  最近,高架橋の上にある照明柱や標識柱に,自動車荷重や風荷重で疲労損傷が発生・進展して崩壊するという事故が発生している.この研究では,付属構造物として照明柱と標識柱とを対象にして,疲労割れ,腐食,およびボルトの緩みなどの損傷の程度と,固有振動数および固有振動モードなどの振動特性との関係を解析,実測,および実験により明らかにする.そして,これらの損傷の程度と振動特性との関係をもとに振動度マップを作成し,損傷を防止する方法を開発するための資料を作成する.本年は,「道路橋付属構造物の損傷発生に関する実験的研究」も行う.具体的には,阪神高速道路に実際に設置されていた標識柱の部分による実験供試体を製作して,大型車交通荷重を想定した繰返し荷重による疲労実験を行い疲労割れ発生を再現する.これにより疲労寿命および構造上の弱点を明らかにすることにより,損傷発生に対する予防保全に有用な資料を作成する.

3.高力ボルト引張継手およびそれを有する部材の力学的挙動の解明とそれらの合理的活用法に関する研究

  高力ボルト引張継手は,従来の現場接合で最も多く用いられている高力ボルト摩擦継手と比較して,ボルト一本当たりの荷重伝達効率が良く,必要ボルト本数を低減できる可能性がある.そのため,材料費および施工費を含めた工費の縮減が可能となり,現場接合の合理化の観点から,実構造物への適用が期待されている.本研究では,本継手を鋼橋一次部材の接合法の一つとして実用化を目指し,その高強度化・高変形能化を図る.そして,本継手の耐荷力特性を耐荷力実験および弾塑性解析により明らかにし,適切なボルト配置およびその設計法について検討する.さらに,本継手を用いた新しい接合形式を提案し,この継手によって連結された薄肉箱形断面部材の耐荷力特性を弾塑性有限変位解析および実験により明らかにする.

4.ハイブリッド実験システムを利用した橋梁部材の強地震動時挙動の解明手法に関する基礎的研究

  当研究室では,既に,京都大学との共同研究として,数台のハイブリッド実験システムをインターネットを介してオンラインで繋いで,多自由度振動体のハイブリッド振動実験が可能な多自由度ハイブリッド実験システムを開発している.さらに,そのシステムを用いて,鋼製橋脚とRC橋脚という異種材料の橋脚で支持された桁橋の耐震特性の解析を行っている.本研究では、この研究をさらに発展させるため,このシステムを用いて,桁と橋脚との間にあるゴム支承の非線形性,ジョイントプロテクターの脆性破断も考慮した耐震特性を明らかにする.

5.2方向面内荷重と輪荷重とを受ける鋼床版要素の耐荷力照査法

  主桁間隔が大きい場合や斜張橋のケーブル付近等では,橋軸方向(以下,縦方向と略す)とともに橋軸直角方向(以下,横方向と略す)にも大きな内部応力が鋼床版には発生する.道路橋示方書には,縦・横方向の応力が連成する場合の規定で座屈破壊まで考慮したものはない.この規定の不備を補うために,2方向面内力を受ける補剛板の終局強度を求める相関曲線が古田氏より提案された.一方,鋼床版は直接,活荷重である輪荷重を支持することから,発生している縦・横方向の内部応力とともに,面外の荷重も同時に受けることになる.本研究では,輪荷重を面外荷重としてとらえて,2方向面内応力が発生する鋼床版の終局強度をUSSPの数値解析により明らかにしようとする.その他,以下の事項を中心に研究をすすめる.@輪荷重を考慮した相関曲線A曲線桁の扇形の鋼床版の座屈安全性,B断面寸法の大きい合理化鋼床版の座屈安全性

6.高変形能高力ボルトを用いる免震構造の開発に関する研究

  当研究室で開発した変形性能の大きい高力ボルトを用いて半剛結に結合された薄肉断面部材の耐荷力および変形性能について,解析的および実験的に検討する.特に,その際の着目点は、高力ボルトの塑性化と薄肉断面部材の構成板要素の局部座屈との連成挙動である.連結する部材は,鋼製部材と鋼製部材,および鋼製部材とコンクリート部材(RCあるいはPC部材)とする.これらの研究成果に基づいて,高変形能高力ボルトで連結された上横構で免震構造としたアーチ橋およびトラス橋,ならびに高変形能高力ボルトでフーチングに連結された鋼製橋脚の耐震特性を弾塑性有限変位解析およびハイブリッド実験により検討する.

7.鋼・コンクリートの複合橋梁の弾塑性有限変位解析プログラムの開発

  コンクリート充填鋼管は,コンクリートが鋼管の拘束によって,そのコンクリートの圧縮強度が一軸圧縮強度より大きくなる.しかし,そのコンクリート充填効果は,鋼管の断面形状,鋼管の厚さ,鋼管の降伏応力,軸方向荷重などのパラメータによって決まる.それて,本研究では,鋼管の各パラメータによるコンクリート充填効果を考慮できるように,既に開発した骨組構造物の弾塑性有限変位解析プログラムのコンクリートと鋼管の構成則を改良する.さらに,コンクリート充填鋼管の圧縮曲げ載荷試験を行い,コンクリート充填鋼管の各パラメータとコンクリート充填効果との関係を解明すると共に,そのプログラムの妥当性を検討する.最後に,構築したプログラムを利用し,複合斜張橋の弾塑性有限変位解析を行い,その耐荷力特性について検討する.

8.エネルギー吸収型連結装置の開発とその高架橋への適用

   落橋防止システムの1つである桁間連結装置としてエネルギー吸収型連結装置を開発する.これまでに,橋軸方向に限定し大地震を想定して本装置(鋼製ベローズ)を都市高架橋に適用した場合については,解析で有効性を検討している.今後は,どれくらいの橋軸直角方向に対して桁同士の相対変位が生じるかを明らかにし,大きな桁相対変位が生じるようであれば,橋軸直角方向の地震力が作用した場合のベローズの挙動を実験により明らかにして,橋軸直角方向の地震動に対してエネルギー吸収性能が期待できるかを検討する.また,多径間連続橋となると桁の伸縮量が大きく,この伸縮量でベローズを降伏させないように桁とベローズとの定着部の考案をする必要がある.さらに,時間があれば,これらの研究成果をハイブリッド実験によって検証することも必要である.また,破断制御型サイドブロックについても検討する.この構造物単体の静的破断実験と解析はすでに行われている.今後は,単純桁がいくつか連続して並んでいる高架橋を想定して破断制御型サイドブロックのジョイントプロテクターとしての有効性および破断力の制御が機能するかを実験により検討する.

9.高架橋上の照明柱の振動制御に関する研究

   近年,高架橋上に設置された照明柱や標識柱で,自動車荷重や風荷重による振動で疲労損傷が発生・進展して崩壊するという事故が発生している.たとえば,大阪市・新御堂筋の高架端に設置されていた標識柱の配電用開口部に,橋桁の固有振動数(約3.5Hz )と標識柱の固有振動数が一致した共振現象による疲労クラックが発生していたが,倒壊寸前で発見された.このような問題は橋梁支承部にゴム支承が採用されるようになってからさらに顕在化してきている.このような損傷・事故を防止するために,この研究ではまず,橋梁の付属構造物として照明柱と標識柱を対象として,その固有振動数および固有振動モードなどの振動特性を明らかにする.次に,その振動を制振装置など,様々な方法によって制御する方法を確立する.この研究は,数値解析,簡易モデル実験,現場実測という3つの方法による.

10.エポキシで炭素繊維を硬化させ貼付・補強された鋼桁の弾塑性有限変位解析法の開発

  最近,橋梁構造物に新素材を用いて,この機能を高めようとする傾向も見られる.これに関する新素材の1つとして炭素繊維がある.当研究室では,既に,既設の鋼製橋脚の耐震補強を炭素繊維で行ったり,既設の老朽化した桁橋を炭素繊維で補強する研究を行っている.また,以前,炭素繊維のケーブルも開発し,それを斜張橋やニールセン橋のケーブルに用いる研究を行った.このような状況の中、この研究では、炭素繊維シートをエポキシで硬化させて貼付した鋼部材の弾塑性有限変位挙動を有限要素法で解析するプログラムを開発する.エポキシで硬化させた炭素繊維シートの有限要素の剛性マトリックスが誘導できれば,それを既存の板構造の弾塑性有限変位解析専用のプログラムUSSPに組み込めば,部分的に炭素繊維をエポキシで貼付した鋼板構造の弾塑性有限変位解析が可能になる.この有限要素の剛性マトリックスの誘導では,炭素繊維の方向性,炭素繊維の破断,および炭素繊維の剥離などを考慮することが必要である.誘導した剛性マトリックスの妥当性を検証するためのデータは,上記の研究で行った実験などで既に準備できている.将来は,このプログラムを用いて,炭素繊維シート添付による既設鋼製橋脚の合理的な耐震補強方法を検討できるようにする.

11.高力ボルト引張接合を用いた複合構造ガセットレストラス格点部の開発

  現在,公共事業費のコスト縮減を目的として,力学的合理性の追求のみではなく,ライフサイクルコストまでを考慮し,経済的合理性を追求した構造や構造形式,橋梁形式の提案が盛んに行われている.本研究では,上記のような背景を踏まえ,トラス橋に注目し,力学的合理性はもちろんのこと,経済的合理性にも富んだトラス格点部の開発を目的とする.トラス橋は,コスト縮減や経済的支間長の長大化を目的としてその合理性の追求が求められている橋梁形式の1つであり,特にその格点部は,多数の高力ボルトにより,ガセットプレートを介して弦材と斜材等とが接合されているのが現状であり,製作性や施工性の面から構造の簡素化やプレファブ化が強く求められている.そこで,本研究では,@コンクリート製プレキャスト格点部と弦材および斜材とを高力ボルト引張接合(長締め接合)により接合し,格点部を構成する形式と,A格点部をコンクリート充填鋼管で構成し,弦材,および斜材を高力ボルト引張接合(長締め接合)で接合して格点部を構成する形式の2形式の複合構造ガセットレス格点部を基本に,実験と解析の両面からその力学的挙動を調べ,最適な格点部構造を提案することを試みる.

12.曲線桁の横ねじれ耐荷力

  鋼橋に用いられる曲線桁の横ねじれ座屈耐荷力特性を調べ,その耐荷力照査法をより合理化する研究を,ここ5年あまり続けている.しかし,その解析モデルの桁端部のそりに関する境界条件が不明確であり,またそれを検証するデータがない.そこで,本研究では,両端の境界条件が明確な簡単な模型を作成して,座屈実験を行い,解析モデルの検証を行う.また,主桁本数が4〜5本程度の曲線プレータガーダー橋を対象に,それをすべて板要素の有限要素でモデル化した解析モデルを作成して,実際的な境界条件および荷重条件の曲線桁の終局状態に至るまでの挙動と終局強度特性を明らかにする.そして、設計示方書で耐荷力曲線を作成するときに用いられる理想化した境界条件と荷重条件との妥当性を検討する.この研究の解析にも,補剛板構造の弾塑性有限変位解析プログラムUSSPを用いるが,全橋モデルの有限要素解析では、スーパーコンピュータで行う必要がある.

13.複合橋梁の各種限界状態の合理的な照査方法の開発

  終局限界状態の照査において,たとえば,それぞれ異なる安全率で設計されているコンクリート系部材,鋼製部材,および,それらの連結部において,終局限界状態を支配をする荷重の組み合せと大きさが部材安全率に対応して異なることになると思われる.それらの荷重の組み合わせ間で整合性を図った設計法を検討することがこの研究の目的である.たとえば,設計死荷重をD,設計活荷重をLとすると,コンクリート系の橋梁(部材)では終局状態の荷重の組み合せが3.0(D+L)程度となり,鋼製橋梁(部材)では1.7(D+L)程度となると思われるが、鋼製橋梁(部材)の方が弱いとはいえない.このような複合橋梁の限界状態設計法における不整合性をなくすため,以下の研究を行う.まず,現行の道路橋示方書で設計されたRC桁と鋼桁とからなる2径間連続桁橋を対象にして、コンクリートの圧縮強度σckと鋼材の降伏点σYとを確率変数に,死荷重Dおよび活荷重Lを確定量にして,モンテカルロ法により,圧縮強度σckと鋼材の降伏点σYとが種々異なる多数の耐荷力解析をα(D+L)なる比例載荷の条件で,弾塑性有限変位解析プログラムEPASSで解析する.そして,終局時の荷重パラメータαであるαuの確率分布を調べて、対象とした複合橋梁の適切な耐荷力照査法について考察する.さらに,簡単な複合桁の模型を作成して,耐荷力実験を行い,実験的にも,複合橋梁の適切な耐荷力照査法について検討する.さらに,時間があれば,コンクリートの圧縮強度σckと鋼材の降伏点σY以外に,死荷重Dおよび活荷重Lをも確率変数にしたモンテカルロ法も行う.

14.プレートガーダーの座屈耐荷力特性と低コスト化

  最近,鋼橋の低コスト化が重要課題となっている.これに関連して,腹板の板厚は少し厚くなるが補剛材の本数を少なくして製作費を縮減したプレートガーダーが,開発されている.合成のプレートガーダーでは,コンクリート床版が硬化した完成系において,支間中央の正曲げを受ける領域で,中立軸がコンクリート床版の付近に移動する.そして,桁断面は全領域で引張応力を受けて座屈しにくくなる.すなわち架設時に座屈しなければ,完成系で座屈の問題はなくなる.この点に着目して,この研究では,腹板の板厚もそれほど厚くせず補剛材の本数を少なくできるプレートガーダーの開発に挑戦する.さらに,従来どおりのプレートガーダーから,補剛材の本数の少ないプレートガーダーまでを統一的に取り扱って,曲げ,せん断,および,それらを同時に受けるプレートガーダーの耐荷力特性を明らかにする.解析には,補剛板構造の弾塑性有限変位解析プログラムUSSPを用いる.

15.細径ケーブルを活用した新形式橋梁の試設計

  当研究室では,これまでに,ケーブルを効果的に利用した経済的で力学的に合理的な橋梁形式の開発を行ってきた.昨年度は,ニールセンローゼ橋に注目し,そのケーブルを細径の複数本のケーブルに置き換え,従来と異なる定着を有する新たなマルチケーブルニールセンローゼ橋を提案し,その耐荷力特性を解析により検討してきた.今年度は.さらに,この細径ケーブルを用いた新たな橋梁形式を提案し,試設計を行い,その有効性について検討する.また,重要な構造材料,構造部材である細径ケーブルを対象に定着部をも含めた載荷実験を行い,細径ケーブルの有効性について検討する.

16.腐食した鋼橋桁端部の耐荷力評価に関する研究

  @損傷・腐食などの多い桁端部の中で,下フランジの支承部ソウルプレート周辺の疲労亀裂に着目して,それが桁端部の残存耐荷力,特にせん断耐荷力に及ぼす影響を,板構造の弾塑性有限変位解析プログラムUSSPによって解析して明らかにする.これに関連した実験(疲労亀裂を有する2体の実験供試体と有しないもの1体)と弾塑性有限変位解析が,中村君の修士論文の研究として行われている.その研究では,疲労亀裂が腹板まで若干進展しても残存耐荷力にはほとんど影響がないという結果を得ている.この研究では,亀裂が腹板内に大きく進展した場合について,解析的に検討する.また,実験も行う.また,腐食した腹板を有する桁端部についても同様な解析と実験を行う.これに関連して,腐食の程度が大きい実橋梁の桁端部の板厚の実測および残留応力の測定も行う.さらに,A柱基部に疲労亀裂を有する照明柱・標識柱に強地震動が作用した場合の挙動を,動的な弾塑性有限変位解析プログラムUSSP・Dによって解析して,亀裂の大きさと地震に対する安全性について検討する.昨年度,谷君が修士論文の研究で行った疲労実験において亀裂が発生した実験供試体を用いてハイブリッド実験によって,解析結果の検証を行う.

17.ハイブリッド実験システムを利用した橋梁部材の強地震動時挙動の解明手法に関する基礎的研究

  当研究室では,これまで,京都大学との共同研究として,数台のハイブリッド実験システムをインターネットを介してオンラインで接続し,多自由度振動体のハイブリッド振動実験が可能な多自由度ハイブリッド実験システムを開発している.さらに,そのシステムを用いて,鋼製橋脚とRC橋脚という異種材料の橋脚で支持された桁橋の耐震特性の解析や,高減衰ゴム支承を用いた免震高架橋システムの地震時応答特性の解明を,京都大学・韓国高等科学技術院の3大学の協力の下行ってきた.本研究では,この研究をさらに発展させるため,このシステムを用いて,多径間橋梁システムの地震時応答特性を,桁と橋脚との間にあるゴム支承や桁間緩衝装置も考慮して,シミュレーションを行い,明らかにする.

18.強地震下における長大鋼橋の動的弾塑性有限変位挙動の解析とその簡易照査法の開発

  地震荷重下における鋼構造物の動的で弾塑性で有限変位の挙動は,EPASS Plus Dによって解析することができる.現在,兵庫県南部地震のようなレベルUの強地震動を受けた場合の橋梁構造物の耐震照査法については,中小の桁橋における橋脚に関してのみ確立されてきた.しかし,長大橋梁については,まだ十分に確立されていないのが現状である.長大橋では,強地震動に対して,剛に抵抗する耐震設計法,地震時に連結部等を柔にする免震設計法,他より早めに塑性変形させる部材をコントロールして設ける制震設計法などが検討されている.本研究では,EPASS Plus Dを用いて,耐震,免震,および制震設計された長大橋梁(ニールセン橋梁である西宮港大橋,上路式ランガー橋である米谷橋,2層ラーメン高橋脚など)の動的弾塑性有限変位解析を行う.それらの解析結果に基づき,種々のコンセプトで設計された長大橋梁の地震応答特性,耐震性(剛性,終局強度,変形性能),および耐震設計法について考察する.

19.RC部材および鋼製部材の補強も兼ねた炭素繊維による鉄筋や鋼板の電気防食技術の開発

  鉄筋や鋼板に発生する錆は,部材の劣化要因に挙げられる.この錆びを防止する最も簡単で有効な方法はペンキを塗ることである.しかし,この研究では,よりスマートな方法として電気防食技術を用いる方法について検討する.最初は,RC構造内部の鉄筋の防錆を,外部に貼付した炭素繊維シートと内部の鉄筋との間に,電池とは逆の方向の僅かな電圧(鉄筋を+,炭素繊維を−)をかけて行う.炭素繊維は電導性に優れ,強度も剛性も鋼と同じかそれ以上であるため,電極としてのみでなく,補強部材としても利用する.次に,炭素繊維を鋼部材に貼付する場合の防錆効果および補強効果についての検討も平行して行う.

20.薄肉鋼製部材の連成座屈挙動の解析と現象の明確化

  鋼製の柱,梁,補剛板,ニールセンローゼ橋などを対象とし,これらの構造物の座屈耐荷力が,初期不整の大きさや形によっていかに変化するかをプログラムUSSPやEPASSを用いて明らかにする.

21.道路橋付属構造物の損傷発生に関する実験的研究

  本研究のテーマは,「道路橋付属構造物の損傷発生に関する実験的研究」とする.具体的には,阪神高速道路に実際に設置されていた標識柱の部分による実験供試体を製作して,大型車交通荷重を想定した繰返し荷重による疲労実験を行い疲労割れ発生を再現する.これにより疲労寿命および構造上の弱点を明らかにすることにより,損傷発生に対する予防保全に有用な資料を作成する.

22.高架橋上の照明柱の振動制御に関する研究

  橋梁上に設置された照明柱の固有振動数および固有振動モードなどの振動特性を明らかにするために昨年度の4回生尾崎友樹君が橋梁を単純梁に,その上に設置された照明柱を1自由度の逆L型柱にモデル化し,交通荷重として橋梁上を一定速度で移動する一定荷重としてランダムに載荷したときの照明柱の応答を計算する振動シミュレーションプログラムを作成してくれた.本年度はこのプログラムを用い橋梁・交通・照明柱などの各条件を変化させて照明柱の振動特性を調べる.また,上部構造物(照明柱)にターゲットを絞り,脚部に不規則外力が入力したときの上部構造物の応答を多自由度系にて解析するシミュレーションプログラムを開発する.このプログラムで質量・ばね・減衰要素を変化させ,効果的な振動対策法について調べる.

23.安全と環境と経済性との調和を考慮した都市内鋼・複合橋梁の再生と創造

  社会の需要に応えて,機能優先で建設されてきた橋梁群,特に都市高架橋においては,最近,「環境との調和」および建設・維持管理コストの縮減の重要性が高まっている.これに関連して,当研究室では,以下の4つの調査・研究委員会を始めようとしている.@ 土木学会関西支部・調査研究委員会:環境との調和に配慮した鋼・複合高架道路橋のリフレッシュ,A大阪市立大学・都市問題研究:環境に配慮した都市内橋梁の再生技術確立のための研究,B科学研究費:安全と環境と経済性との調和を考慮した都市内鋼・複合橋梁の再生と創造,およびC建設コンサルタント協会:橋梁環境と限界状態設計法研究委員会 この研究では,これらの調査・研究委員会に関連して,このような新しい分野の検討を行うためのコンセプト(進め方)の整理に関する調査・研究を行う.具体的に今年度は,以下の検討を行う.@関連資料の調査・収集・整理,A橋梁周辺の自然および人的環境の調査・整理,およびBそれらと橋梁の各種限界状態との関係の検討

24.橋梁の振動制御に関する研究

  橋梁は,主として,自動車などの活荷重により絶えず振動している.この振動は,時としてユーザーである自動車利用者に不快感を与えたり,周辺住民には騒音や低周波振動という形で不快感を与えたりしていることが知られている.特に,兵庫県南部地震以降にゴム支承が用いられるようになり,これも原因の一つといわれている.そのため,これらの振動を抑え,不快感を低減する技術の開発が強く望まれている.そこで,本研究では,これらの振動を効果的に抑制する装置の開発を目的として,@橋梁の振動特性の現状把握目的とした現場計測,A@の結果をもとに,橋梁の振動を再現できる解析モデルの作成,B解析モデルを用いて,振動抑制のための装置の効果の検討を行い,効果的な振動抑制装置を提案する.

25.複合橋梁の各種限界状態の合理的な照査方法の開発

  現在,世界中において,構造物の設計法が,世界共通の基本規格であるISO2394に従って,構造物間,構造材料間,および国間において整合・統一されつつある.しかし,我が国で進められている限界状態設計法では,これらの整合・統一は難しいようである.本研究で対象とする複合橋梁は,現在,許容応力度設計法により,それぞれ異なる安全率で設計されているコンクリート系部材,鋼製部材,および,それらの連結部から構成されている.これらの構成部材それぞれの使用限界状態および終局限界状態を支配する荷重の組合せと大きさ,および,これらの限界状態を超過する確率は異なる.本研究では,ISO2394に従って,このような複合橋梁における不整合性をなくすことができる限界状態設計法について検討する.着目点は,以下にある.@橋梁における要求性能を,今までと異なり,対象荷重のみでなく,周辺環境,維持管理性などの面からも検討する.A複合橋梁の各種限界状態を,国内外の各種設計資料を参考に整理・検討する.B構成部材の整合性を,使用限界状態および終局限界状態のどちらかに,あるいは両方に着目してどのようにとるか.

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